Man

Man 活動期間1968.11-1976.12/1983-
 スウォンジーで1968年秋に結成されたウェールズ・ロック人脈の大きな幹とも言えるグループ。当初はサイケデリック~プログレッシヴな方向性を持ちながらも、徐々にパブ・ロックにも通じる多彩な音楽性を展開、激しいメンバーチェンジと元メンバーの復帰、離脱を繰り返しつつも屈指のジャム・バンドとして欧州を中心に人気を獲得した。

 前身はハーモニー・ヴォーカル・グループとして活躍していたThe Bystanders。シングル・セールスの悪化などに伴い、新たにプログレッシヴな方向性を志向するMicky JonesClive Johnら主要メンバーが、ポップ志向で脱退したリード・ヴォーカリストVic Oakleyに代わって同じスウォンジー周辺で活動していたグループThe DreamDeke Leonardを加えて結成される。

 当時グループのプロデュースはJohn Schroaderが務めており、シングルのセールス不振を理由に所属していたPye上層部からグループとの契約を破棄するよう迫られていた。それを告げに末期The Bystandersのギグに訪れた際、大きく音楽性を変貌させグループが進化している姿に驚き、上層部と掛け合い契約の破棄が保留された逸話が残っている。

 1969年にアルバム「Revelation」で再デビューを果たす。The Bystanders時代とは一変したサイケ~プログレ寄りの音楽性を披露し、同年秋には続くセカンド・アルバムをPye傘下のDawnからリリース。しかし、両アルバムともにセールス的にはさほど振るわず、本国よりも西ドイツを中心とした精力的なギグを展開することに。

 2nd制作後(途中?)にはDekeが家庭の事情から離脱。代わって彼と一緒にThe Dreamなどのグループで活動していたMartin Aceが加入する。70年に入ると音楽を離れていたLeonardが復帰、まもなくドラマーにまたも元The DreamのテクニシャンTerry WilliamsLove Sculptureを経て加わって強力なラインナップが完成する。

 レーベルをLiberty、United Artistsと移しつつも精力的なライブ活動が認められ、71年ごろから本国でもようやく人気が出始める。しかし、メンバーを固定することができず、同年末にはツアーの疲労からJohnが離脱。さらに翌年には自身のグループでの活動を望んだAceに加えてDekeが2度目の脱退。このためJonesはJohnを呼び戻し、さらに彼と行動をともにしていたニース出身でEyes Of BlueなどのPhil Ryanと元QuicksandWill Youattが加わり再び5人編成となった。

Man2 6枚目のアルバム制作後にJohnが再リタイア。まもなくTweke Lewisを加えるも短期で脱退。73年にはRyanとYouattもThe Neutronsを始動させるためにバンドを離れるなど再び活動に黄色信号が灯る。

 ここで自身のグループIcebergを率いてManとともにツアーを行う予定だったLeonardの再加入が実現し、さらに元Help YourselfKen WhaleyMalcolm Morleyを加えてグループの再構築に成功。74年春に「Rhinos, Winos & Lunatics」を、さらにMorleyを除く4人で秋には「Slow Motion」をリリースした。

 75年3月の米国ツアー中には、脱退したWhaleyに代わってThe Flying Acesを率いて活動していたAceを復帰させ、急場をしのぐ。米国滞在中には、グループの音楽性に強い影響を与えたQuicksilver Messenger Serviceの元ギタリストJohn Cippolinaとのセッションが実現。帰国後の英国ツアーではCippolinaをゲストに迎え、この様子を「Maximum Darkness」としてリリース。Aceはツアー終了後に自身のグループでの活動に戻り再離脱している。

 76年3月にはRyanが復帰し、ベースにオーディションでJohn Mckenzieを獲得。MCAに移籍し「The Welsh Connection」を発表する。しかし、Leonardが3度目の脱退を表明したことを受け、Jonesはついに解散を決意。ラストツアーを敢行し、同年末に解散。同ツアーの模様は翌年「All’s Well That Ends Well」(終わり良ければすべて良し)としてライヴ・アルバム化された。

Man Marquee その後中心メンバーはソロ、セッション活動などを行っていたが、1983年になってJones、Leonard、Aceの3人が元Gentle Giantでウェールズ人脈の重要人物の1人John Weathersを新メンバーにグループを再編し、96年まで同一メンバーで精力的なギグ活動を展開させた。その後も新旧メンバーが出入りを繰り返しつつ活動を継続。2000年代に入ってリーダーJonesが脳腫瘍を患い治療のためにバンドを離脱、Leonardも再び脱退するなどの危機もあったが、Jonesの息子GeorgeやAceの息子Josh Aceが加入して活動。結成40周年となった2008年にはRyanが再び加わった。

<albums>
Revelation (Pye NSPL18275) 1969/1
2ozs. Of Plastic With A Hole In The Middle (Dawn DNLS3003) 1969/9
Man (Liberty LBG83464) 1971/3
Do You Like It Here Now? Are You Setting In ? (United Artists UAS29236) 1971/11
Live At The Padget Rooms Penarth (United Artists USP100) 1972/9
Be Good To Yourself At Least Once A Day (United Artists UAG29417) 1972/11
Back Into The Future (United Artists UAD60053/4) 1973/9
Rhinos, Winos & Lunatics (United Artists UAG29631) 1974/5
Slow Motion (United Artists UAG29675) 1974/10
Maximum Darkness (United Artists UAG29872) 1975/9
The Welsh Connection (MCA MCF2753) 1976/3
All’s Well That Ends Well (MCA MCF2815) 1977

At The Star Club (Krucker 28765/66-2) 1998
Endangered Species (Evangeline GEL4001) 2000/6
Down Town Live (Altrichter Music AM310559) 2002
Undrugged (Point PNTVP121) 2002/5
Diamonds And Coal (Point PNTVP134) 2006
Kingdom Of Noise (Point PNTVP135CD) 2009
Reanimated Memories (Esoteric Antenna EANTCD1046) 2015/2

・その他オムニバス、ライブ音源など
The Greasy Truckers Party/V.A. (United Artists UDX203/4) 1972/4 ※2曲収録
Christmas At The Patti/V.A. (United Artists UDX205/6) 1973/7 
   ※10インチ2枚組72年ライブ/Dave Edmunds & Stan Phiffer名義2曲
BBC Radio 1 Live In Concert (Windsong WINCD045) 1993 
  ※Deke Leonard’s Icebergとのカップリング/73年のライブ
2d Blues Festival Bonn ’87/V.A. (Half Moon MOON8851) 1987 ※Germany/ライブ3曲

<EP>
Bananas (United Artists REM408) 1976 ※73年6月のライブ音源

<singles>
Sudden Life/Love (Pye 7N17684) 1969
Daughter Of The Fireplace/Country Girl (Liberty LBF15448) 1971
Taking The Easy Way Out Again/California Silks And Satins (United Artists UP35703) 1974
Day And Night/A Hard Way To Live (United Artists UP35739) 1974
Out Of Your Head/I’m A Lovetaker (MCA MCA236) 1976
Bananas/Bananas – different version (United Artists UPS408) 1976

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【歴代メンバー】
Micky Jones :guitar/vocals (1968.11-1976.12/1983-2002/2004-2005)
Deke Leonard :guitar/vocals/piano 
  (1968.11-1969.4/1970.3-1972.5/1973.autumn-1976.12/1983-2005)
Ray Williams :bass/vocals (1968.11-1970.summer)
Clive John :keyboard/guitar/vocals (1968.11-1971.12/1972.5-1973.early)
Jeff Jones :drums (1968.11-1970.summer)
Martin Ace :bass/guitar/vocals (1969-1972.4/1975.3-mid/1983- )
Terry Williams :drums (1970-1976.12/1987.3-1988.2/1995-1997.11)
Phil Ryan :keyboard/vocals (1972.5-1973.autumn/1976/1998-2000/2008- )
Will Youatt :bass/vocals (1972.5-1973.autumn)
Alan “Tweke” Lewis :guitar (1973)
Malcolm Morley :keyboard/guitar/vocals (1974.1-summer)
Ken Whaley :bass (1973.autumn-1975.3)
John McKenzie :bass (1976)
John Weathers :drums (1983-1996)

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【メンバー変遷】
#1 (1968.11-1969.4)
Micky Jones:g/vo 
Deke Leonard:g/vo/p →#3
Ray Williams:b/vo 
Clive John:key/g/vo 
Jeff Jones:ds 
 The BystandersにDekeが加わった5人がオリジナル・ラインナップ。このメンバーでPyeからファースト・アルバム、傘下の新プログレッシヴ・レーベルDawnからセカンドをリリース。Dekeはセカンド・アルバムの録音途中に”家庭の事情”で離脱。しばらく音楽活動から遠ざかって別の仕事に就いていたという。

#2 (1969.mid-1970.3)
Micky Jones:g/vo
Ray Williams:b/vo
Clive John:key/g/vo
Jeff Jones:ds
Martin Ace:g/vo/p
 Dekeの後任には(彼の推薦か?)、Dekeと一緒にThe JetThe Dreamなどで活動していたMartin Aceが加入。MartinとDekeの嫁は姉妹で、70年代は義兄弟の関係でもあった。

#3 (1970.3-mid)
Micky Jones:g/vo
Ray Williams:b/vo
Clive John:key/g/vo
Jeff Jones:ds 
Martin Ace:g/vo/p
Deke Leonard:g/vo/p
 Dekeが復帰して短期間ながら6人編成となるが、まもなくしてオリジナル・メンバーでベースのWilliamsとドラマーのJonesが離脱している。Aceはベースも演奏でき、彼の人脈から腕の良いTerry Williamsをドラマーとして迎え入れたいバンド側の構想によって解雇されたようだ。Jonesは後にWild Turkeyに加入。Williamsはプロを廃業した。

#4 (1970.mid-1971.12)
Micky Jones:g/vo
Clive John:key/g/vo →#6
Martin Ace:b/vo
Deke Leonard:g/p/vo
Terry Williams:ds
 新ドラマーにはDeke、Aceと同じ元The DreamのTerry Williamsが加わる。Aceがベースにチェンジしかなり強力なラインナップとなる。Libertyに移りサード・アルバム、さらにUnited Artistsから4作目をリリース。ジャム・バンドとして本国でも評判が上がってきたころで、精力的なギグを展開する。しかし、長期のツアーに疲れ果てたJohnが脱退。

#5 (1972.1-5)
Micky Jones:g/vo
Martin Ace:b/vo → #11
Deke Leonard:g/p/vo → #9
Terry Williams:ds
 Johnの離脱でメンバーを補充せず4人編成のまま活動。このラインナップでライブ・アルバムをリリース。同年春には妻Goergeとの活動を望んだAceが離脱し、自身のグループThe Flying Acesを結成。さらにはDekeも2度目の脱退を表明する。Dekeの離脱はMickyとの確執が原因のようで、解雇に近いものだった模様(何かのライナーでDekeの愚痴を読んだ気が・・・)。Dekeはソロ活動へ。

#6 (1972.5-1973.early)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Clive John:g/vo → solo
Phil Ryan:key/vo 
Will Youatt:b/vo 
 結局MickyとTerryの2人しか残らない形となり、活動に黄信号が・・・。しかし、Johnを呼び戻すことに成功。さらにJohnとともにIorwerth Pritchard & The Neutronsというグループで活動を本格化させようとしていた名手Phil RyanとWill Youattをスカウト。通算6作目の快作「Be Good To Yourself At Least Once A Day」を発表。

#7 (1973.mid)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Phil Ryan:key/vo
Will Youatt:b/vo
 再びJohnが離脱し4人編成に。このメンバーでスタジオとライブの変則2枚組アルバム「Back Into The Future」のスタジオ・サイドを制作。

#8 (1973.mid-1973.autumn)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Phil Ryan:key/vo → #12
Will Youatt:b/vo 
Alan “Tweke” Lewis:g/vo
 元Wild TurkeyのTwek Lewisを迎える。「Back Into The Future」のライブ・サイドはこの5人での録音。Lewisは短期で離脱し、後にMicky Jones Bandなど。RyanとYouattもプロジェクト・バンドThe Neutronsを本格始動させるために脱退。再びMickyとWilliamsの2人が残される形に。

#9 (1974.1-1974.summer)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Deke Leonard:g/vo/p
Malcolm Morley:key/g/vo
Ken Whaley:b
 Dekeの再々加入が実現。自身のバンドIcebergを率いてManとのジョイント・ツアーを行う予定だったという。さらに親交のあったHelp Yourselfのリーダー格Malcolm MorleyとベースのKen Whaleyが加わり息を吹き返す。アルバム「Rhinos, Winos & Lunatics」をリリース。Morleyは本作のみで脱退。

#10 (1974.summer-1975.3)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Deke Leonard:g/vo/p
Ken Whaley:b 
 メンバーの補充をせず4人で「Slow Motion」を制作。米国ツアー中にWhaleyが脱退。

#11 (1975.3-late)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo (The Flying Aces)  
※John Cippolina:g (ex-Quicksilver Messenger Service)
 Whaleyに代わってAceの復帰が実現する。米国ツアー中には、大きな影響を受けた米国のバンドQuicksilver Messenger ServiceのギタリストJohn Cippolinaとのセッションが実現。帰国後の本国ツアーではゲスト参加も。この時の演奏をライブ盤「Maximum Darkness」としてリリース。ツアー後にはAceが再び脱退。

#12 (1976.early-1976.12)
Micky Jones:g/vo
Terry Williams:ds →#14
Deke Leonard:g/vo/p
Phil Ryan:key/vo → #16
John McKenzie:b/vo
 Ryanが復帰するとともに、ベースには元Global Village Trucking CompanyのJohn McKenzieをオーディションで獲得。スタジオ作「The Welsh Connection」を制作。しかし、その後Dekeが脱退を表明。Mickyは活動にピリオドを打つことを決め、ラストツアーを敢行し76年末に解散を迎える。Micky、Dekeは自身のバンドを率いてソロ活動へ。WilliamsはDekeとの活動を経てRockpileやThe Motorsなどパブ・ロック・シーンで大活躍をみせる。

#13 (1983-1995)
Micky Jones:g/vo
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
John Weathers:ds
※Terry Williams:ds (1987.3-1988.2)
 主要メンバーの3人と元Gentle Giantで名手John Weathersの4人で再結成。Williamsが一時ヘルプした時期もあったが、10年以上固定のメンバーで活動した。

#14 (1995-1997.9)
Micky Jones;g/vo
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
Terry Williams:ds

#15 (1997-1998)
Micky Jones;g/vo
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds

#16 (1998-2000)
Micky Jones;g/vo
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
Phil Ryan:key → #22

#17 (2000-2002)
Micky Jones;g/vo
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
Gareth Llewellyn Thorrington:key

#18 (2002-2004)
Deke Leonard:g/vo/p
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
Gareth Llewellyn Thorrington:key
George Jones:g/vo

#19 (2004-2005)
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
Gareth Llewellyn Thorrington:key
George Jones:g/vo
Micky Jones:g/vo

#20 (2005-2006)
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
Gareth Llewellyn Thorrington:key
George Jones:g/vo
Josh Ace:g/vo

#21 (2006-2008)
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
George Jones:g/vo
Josh Ace:g/vo

#22 (2008)
Martin Ace:b/vo
Bob Richards:ds
George Jones:g/vo
Josh Ace:g/vo
Phil Ryan:key

#23 (2009- )
Martin Ace:b/vo
Josh Ace:g/vo
Phil Ryan:key/vo
James Beck:g
Rene Robrahn:ds