Jeff Beck Group

Beck,Jeff Group 活動期間1967.1-1969.8/1971.4-1972.7
 The Yardbirds脱退後、マネージャーMickie Mostとソロ契約を結んだJeff Beckが67年初頭に始動させた自身のバック・バンド。多数の名ミュージシャンがその活動を支えた。70年代に入って結成されたJeff Beck Groupと区別するため、60年代のグループは第1期、70年代のグループは第2期と呼ばれているが、60年代のJeff Beck Groupは便宜上の名称で当時の音源、公演などはすべてJeff Beckの単独名義となっている。

 結成当初は元Shotgun ExpressのヴォーカルRod Stewart、元The BirdsのベースRon Wood以外のメンバーはなかなか固定せず、元The Pretty ThingsのドラマーViv PrinceやWoodの仲間でベーシストのKim Gardnerらは最初のリハーサルのみで離脱。春にはDave Ambrose(デビュー・シングルの録音に参加。Rodと同じShotgun Expressに在籍)を加えるも長く続かず、結局サイド・ギターのWoodがベースに回る形で落ち着いている。

 3月のライブで公式デビューを果たし、翌4月にソロ・シングル「Hi Ho Silver Lining」をリリース(本作はJ.Beck Groupとしての演奏ではなく、B面はJimmy PageKeith Moonらの参加でもよく知られる)。この頃にドラマーがAynsley Dunbarに代わってようやくラインナップが安定。Beck自身の第2弾シングル「Tallyman」(7月に発売)のB面で同グループとしての演奏が初めてリリースされる。Dunbarに代わって夏には春に一時期ヘルプしたMicky Wallerが正式に加入。

beck 1968年8月に初のアルバム「Truth」をリリース。発売前には米国で初の公演が行われ、本作は全米で15位に上昇するヒットを記録する。10月に始まった米国ツアーから、シングルや同アルバム、ギグにゲスト参加したセッション・ピアニストのNicky Hopkinsが正式加入を果たしている。

 しかし、1969年初頭にはWallerとWoodが新グループ結成のために脱退を表明。新ドラマーには元Sounds IncorporatedTony Newmanが加入する。3月からの3度目の米国ツアーにはWoodに代わって当初Douglas Blakeが起用されるも1ステージのみで解雇、Woodが呼び戻されている。WallerとWoodの新グループは結局この時は実現しなていない。

 5人編成で6月にセカンド・アルバム「Beck Ola」を発表。前作と同じく全米15位を記録するが、同作を最後にHopkinsが脱退。発売直後の7月には米国ツアーを敢行するが、Beckが解散を宣言。予定されていたウッドストックへの出演はキャンセルされ、バンドは活動を停止した。Beckは再びStewartと組んで新バンドの構想を練っていたが、WoodとStewartはWoodの兄Art WoodとのQuiet Melonのセッションを契機にSmall Facesと合体しFacesを結成。NewmanはMay Blitzを結成している。

 第1期Jeff Beck Groupの活動停止後、Beckはレコードで聞いた米国はヘヴィ・サイケデリック・バンドVanilla Fudgeを気に入り、Tim BogertとCarmine Appiceのリズムセクションにコンタクトし新グループを構想する。しかし、合流直前の69年11月、ケント州で交通事故を起こして3カ月の入院を余儀なくされる重傷を負いプランは頓挫する。

Beck,Jeff Group2 完治後の翌1970年、すでに新グループのCactusで活動していたBogert、Appiceとの編成をあきらめ、同じMickie MostのプロダクションにいたBig BerthaCozy Powellやモータウンのミュージシャンらとレコーディングを行う。この時の録音は不調に終わるが、1971年に入ってPowellをはじめ、Max Middleton、Clive Chaman、Alex Ligertwoodらと新たに第2期のJeff Beck Groupを結成。

 すぐにヴォーカルはLigertwoodから元GassのBobby Tenchに代わり、71~72年にかけて2枚のアルバムをリリース。Beckのキャリアの中でも特にファンの支持を集める傑作に仕上がったが、1972年半ばのCactus解散に伴い、念願のBogert、Appiceとの新グループにBeckの関心が移ったこともあり、わずか1年半ほどの活動期間で解散した。

<albums>
・Jeff Beck Group 1
Truth (Columbia SCX6293) 1968/8
Beck Ola (Columbia SCX6351) 1969/6

・Jeff Beck Group 2
Rough And Ready (Epic 64619) 1971/10
Jeff Beck Group (Epic 64899) 1972/7

<singles>
・Jeff Beck Group 1
Hi Ho Silver Lining/Beck’s Bolero (Columbia DB8151) 1967/3
Tallyman/Rock My Plimsoul (Columbia DB8227) 1967/7
Love Is Blue/I’ve Been Drinking (Columbia DB8359) 1968/3

・Donovan & Jeff Beck Group
Goo Goo Barabajagal (Love Is Hot)/Bed With Me (Pye 7N17778) 1969/6
Barabajagal/Trudi (Pye 7N17778) 1969/7

・Jeff Beck Group 2
Got The Feeling/Situation (Epic EPC7720) 1972/1

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【歴代メンバー】
Jeff Beck :guitars (1967.1-1969.8/1971.4-1972.7)
Rod Stewart :vocals (1967.1-1969.8)
Ron Wood :bass/guitars (1967.1-1969.8)
Kim Gardner :bass (1967.1)
Viv Prince :drums (1967.1)
Jet Harris :bass (1967.1)
Ray Cook :drums (1967.2-3)
Micky Waller :drums (1967.3/1967.8-1969.1)
Dave Ambrose :bass (1967.3-4)
Rod Coombes :drums (1967.3-4)
Aynsley Dunbar :drums (1967.4-8)
John “Junior” Wood :bass (1968.3-5)
Nicky Hopkins :piano (1968.10-1969.6)
Tony Newman  :drums (1969.1-8)
Douglas Blake :bass (1969.2-3)

Alex Ligertwood :vocals (1971.4-7)
Clive Chaman :bass (1971.4-1972.7)
Max Middleton :keyboards (1971.4-1972.7)
Cozy Powell :drums (1971.4-1972.7)
Bobby Tench :vocals/guitars (1971.7-1972.7)

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第1期Jeff Beck Group
#1 (1967.1)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:g
Kim Gardner:b
Viv Prince:ds
 1967年1月半ばにバンドの骨格が出来上がる。Stewartは元Shotgun Express、WoodとGardnerは元The Birdsの中心メンバー、Princeは元The Pretty Things。この5人でリハーサルに入るが、Gardnerがフィットせずにすぐに離脱。Gardnerは後にモッズ・バンドThe Creationに加わった。

#2 (1967.1)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:g
Viv Prince:ds
Jet Harris:b
 1月下旬に元The ShadowsのJet Harrisを加えてリハーサルを再開させるもうまくいかず、Prince、Harrisが離脱。Princeはこの後、Denny Laine String Bandなどで活動。

#3 (1967.2-3)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Ray Cook:ds
 BeckのThe Tridents時代の仲間Ray Cookがドラマーに。結局適任者を見つけられなかったのか、ベースはWoodがサイド・ギターからスイッチする形に。3月3日ロンドンのフィンズベリー・パークで行われたコンサートでデビューを飾る。

#4 (1967.3)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:g
Dave Ambrose:b
Micky Waller:ds
 デビュー・ギグの3日後、7日のBBC「サタデー・クラブ」の収録では演奏に難があったためかCookに代わってMicky Wallerがドラマー、ベースもデビュー・シングルの録音に参加していたDave Ambroseを加えたラインナップで臨む。Wallerはその後のリハなどにも参加した模様だが、セッションマンとして多忙だったためかバンドを離れている。夏に正式に合流。

#5 (1967.3-4)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b/g
Dave Ambrose:b
Rod Coombes:ds
 ドラマーがLuluのバック・バンドThe LuvversでプレイしていたRod Coombesに。このメンバーでマーキー出演などをこなしたようだが、結局Ambrose、Coombesともに短期で脱退している。

#6 (1967.4-8)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Aynsley Dunbar:ds
 元John Mayall’s Bluesbreakersの名手Dunbarが加わり、ようやくラインナップが安定。Woodは結局ベースに落ち着く形に。セカンド・シングルのリリースを控えて5~7月にかけて精力的に本国ツアーを行った。
 
#7 (1967.8-1968.10)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Micky Waller:ds
※Nicky Hopkins:p
※John “Junior” Wood:b (1968.3-5)
 自身のリーダーグループAynsley Dunbar Retaliation結成のためDunbarが独立。代わってWallerが復帰。一方でWoodが最初のリハーサルで離脱した仲間Kim Gardnerの要請で1967年末から断続的にThe Creationとの掛け持ち状態に。はやはり本来の持ち楽器のギターがやりたかったようでレコーディングやツアーもこなしたが、The Creationは1968年半ばに活動を停止している。Wood不在時は元TomorrowのJohn “Junior” Woodが代役を務めた。1967年12月のギグからNicky Hopkinsが断続的にゲスト参加。彼を加えて初のアルバム「Truth」を制作。

#8 (1968.10-1969.2)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Micky Waller:ds
Nicky Hopkins:key
 1968年10月にスタートした2度目の米国ツアーからHopkinsが正式メンバーに昇格。しかし、年明け早々にWallerとWoodが新バンドを構想して離脱を表明。

#9 (1969.2-3)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Nicky Hopkins:key
Tony Newman:ds
Douglas Blake:b
 年明けのレコーディングから元Sounds Incorporatedの名ドラマーTony Newmanが参加。Woodもこれには参加したようだが、3月からの米国ツアーには当初参加せず、Douglas Blakeが起用される。しかし、1公演だけで解雇され結局Woodが呼び戻されることに。WoodとWallerは元Blue Cheerの米国人ギタリストLeigh Stephensとリハーサルに入るが、新バンド結成は見送られている。MickyはSteamhammerへ。

#10 (1969.3-7)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Nicky Hopkins:key
Tony Newman:ds
 上記5人でセカンド・アルバム「Beck Ola」を制作し7月にリリース。同じMickie MostのプロデュースするDonovanのレコーディング、BBCでの収録などにも参加している。Hopkinsがアルバム完成後にバンドを離れ、リリース後の米国ツアーには帯同せず。

#11 (1969.7-8)
Jeff Beck:g
Rod Stewart:vo
Ron Wood:b
Tony Newman:ds
 アルバム・リリースに合わせて5回目のUSツアーを4人で行うが、Hopkinsの離脱やメンバー間の確執などからBeckの苛立ちはピークに。ステージでは楽器を破壊するなど大荒れだったようだ。ついに解散を宣言して帰国。目前だったウッドストックへの出演をキャンセル、活動を停止する。

Jeff Beck Group 2
#1 (1971.4-7)
Jeff Beck:g
Alex Ligertwood:vo
Clive Chaman:b
Max Middleton:key
Cozy Powell:ds
 第1期結成当初時と同様にメンバー選考に長い時間を費やす。同じプロダクションでBig Berthaに在籍していたCozy Powellの参加は早い段階で決まっていたようだが、ようやくメンバーが固まり始動するのに約1年を要する。しかし、Gassでのプレイを聞いたBobby TenchをBeckが気に入り、Ligertwoodが解雇されている。LigertwoodはBrian Auger’s Oblivion Expressへ。

#2 (1971.7-1972.7)
Jeff Beck:g
Clive Chaman:b
Max Middleton:key
Cozy Powell:ds
Bobby Tench:vo/g
 上記メンバーで2枚のアルバムを制作。セカンド・アルバムのリリースに合わせてツアーを行うが、パフォーマンスに対するBeckのフラストレーションが再燃。この頃、AppiceとBogertのバンドCacutasが解散状態となったことで念願だった彼らとの活動を模索。1972年7月にMiddletonを除く3人が解雇され、Appice、Bogertと新ヴォーカリストKim Milfordを加えた新布陣でツアーをスタートさせる。
 PowellはBedlamを経てChamanらと自身のバンドCozy Powell’s Hammerを結成。Tenchは新ヴォーカリストMilfordがすぐに解雇となったことで呼び戻されるが、ツアー終了後にMiddletonとともに離脱し、後に2人はChamanを誘いHummingbirdを結成。