活動期間1970-1972
レスター出身のグループ。プログレッシヴ・レーベルのNeonに残した唯一のアルバムは、キーフの手による印象的なジャケット・デザインに加えてメロトロンによる音作りが非常に個性的な作品。当時セールス的な成功は収められなかったが、後年になって再評価され、フォーク、プログレ・ファン必聴の1枚となっている。メンバー5人のうち3人がメロトロンを使うということも話題となった。
本アルバム制作は言わば「偶然の産物」で、カーディフでのギグの帰路、メンバーを乗せたバンがウェールズの田舎道で故障。それを助けたのがロックフィールド・スタジオのプロデューサー、エンジニアのKingsley Wardだった。Wardはちょうど新たな逸材を探していた最中で、彼らがメロトロンを所有していることに興味を惹かれ、オーディションを通してレコーディングが決定した。プロデュースは名手Gus Dudgeonが担当し、そのロックフィールド・スタジオ(一部ロンドン)で録音が行われた。
リリース後はVelvet Undergroundの英国公演の前座など積極的なツアーが組まれたものの、商業的な成功は収められず、72年にグループは解散を迎えている。当時お蔵入りとなったセカンド・アルバム用の録音も行われていたようで、2007年になって「The Untitled2」としてCD再発されている。
解散後、ヴォーカルのPat Moranはロックフィールド・スタジオに残ってサウンド・エンジニア、プロデューサーに転身、大物アーティストと多数仕事をするなど成功。Ray Martinezも同郷のGypsy参加後ウェールズに戻り、セッション・ギタリストに。ドラマーのPick Withersは世界的な人気バンドとなったDire Straitsのメンバーおよびセッション・ドラマーとして大きな名声を収めている。Kips Brownはレスターに帰郷、WithersとともにIan A. Andersonのアルバムにゲスト参加している。オリジナル・ベーシストのAdrian Maloneyは音楽から離れた。
<album>
Spring (Neon NE6) 1971
【メンバー変遷】
#1 (1970-1971)
Pat Moran:vo/key
Ray Martinez:g/key
Adrian Maloney:b/g
Kips Brown:key
Pick Withers:ds
#2 (1971-1972)
Pat Moran:vo/key
Ray Martinez:g/key
Kips Brown:key
Pick Withers:ds
Peter Decindis:b