Family

prog2 活動期間1967.1-1973.10
 Roger Chapmanの感情豊かなヴォーカル・スタイルとギターのCharlie Whitneyを中心とする高度な演奏によって生み出される多彩な音楽性を武器に、欧州を中心に絶大な支持を得る。トラッドやブルース、ジャズなど様々な音楽的要素を包括したジャンルにとらわれない独自サウンドはまさに「英国ロック」の形容がしっくりくるほど個性的。

 レスターを拠点に活動していたThe Farinasが1967年に入ってすぐに改名。このころにはGiorgio Gomelskyが設立したMarmaladeレーベルと契約してThe Roaring Sixtiesの変名でシングルをリリースするなど方向性が定まらず、揃いの派手なダブルのスーツに身を包んでステージに上がっていた。このためマフィアやギャングを連想させるということから、ロス出身の米国人プロデューサーKim Fowleyの提案を受け入れ改名。本格的なロンドン進出を果たす。

 新たにLibertyとの契約を獲得し、Jimmy Millerをプロデューサーに迎え、秋にデビュー・シングル「Scene Through The Eyes Of A Lens」をリリース。当初はR&Bに強く影響を受けた演奏を行っていたが、バンド改名とともにオリジナル曲を増やし、時代を反映したサイケデリック・ロックに転換。デビュー・シングルは失敗に終わるが、Pink FloydやTomorrowSoft Machineなどと一緒にロンドンのアンダーグランド・サーキットでは徐々に注目される存在となっていく。

DSCF8914 この後、Repriseとの長期契約を獲得。1968年にTrafficDave Masonをプロデューサーに迎えてデビュー・アルバム「Music In A Doll’s House」をリリースする。チャートの第35位にランキングされるまずまずのヒットとなり、本作は同時代を代表するサイケデリック・ロック・アルバムとして高い評価を受ける。

 翌1969年には音楽性を進化させ、名手Glyn Johnsがプロデュースを担当した「Family Entertainment」をリリース。本作は英国アルバム・チャートの第6位まで上昇する最初の大きな成功を収め、迫力のあるギグも評判を呼ぶ。その勢いをかって1970年初頭にリリースしたサード・アルバム「A Song For Me」は第4位、同年秋のスタジオとライブの変則盤「Anyway」は7位まで上昇。1969年にはハイド・パーク・コンサート、1970年には伝説のワイト島フェスにも出演するなど人気を不動のものとした。

 1971年にはプログレッシヴ・ロック・ファンにも評価の高い「Fearless」、1972年にはファンから傑作とも評される「Bandstand」など名作を次々とリリース。本国以外にもドイツなど欧州では高い人気を獲得し、コンスタントな商業的な成功を収めたが、米国市場でのセールスは振るわなかった。1973年には新たに設立したRaftに移籍し「It’s Only A Movie」をリリース。

 しかし、本作リリースに伴うツアーを最後に活動に終止符を打つ。最後までバンドを支え続けた2人の中心メンバーChapmanとWhitneyは解散後もコンビを継続、よりストレートなR&Bにシフトし、連名アルバムをリリース後、アルバム名をバンド名としたStreetwalkersを結成した。

 活動を多くの名ミュージシャンが支えらことでも知られ、Trafficなどでも活躍したRic GrechKing CrimsonでブレイクするJohn Wetton、後にRod Stewartとの活動でも知られるJim Creganらが在籍した。

 2013年2月には解散以来40年ぶりとなる再結成が実現。Roger Chapman、Rob TownsendPoli Palmer、Jim Creganの4人のメンバーが集結しロンドンでギグを行い、往年の名曲多数を演奏した。これを記念して同年には未発表音源やライブを含む14枚組の集大成ボックス・セットCDが限定発売された。


<albums>
Music In A Doll House (Reprise RSLP6312) 1968/7
Family Entertainment (Reprise RSLP6340) 1969/3
A Song For Me (Reprise RSLP9001) 1970/1
Anyway (Reprise RSX9005) 1970/11
Old Songs New Songs (Reprise RMP9007) 1971/3
Fearless (Reprise K54003) 1971/11
Bandstand (Reprise K54006) 1972/9
It’s Only A Movie (Raft RA58501) 1973/9

・その他ライブ作など
The Peel Sessions (Strange Fruit SPPS061) 1983 ※1973年5月BBC音源/EP
BBC Radio 1 Live In Concert (Windsong WINCD001) 1991 ※1973年のライブ
Family Live (Mystic MYSCD176) 2003 ※1971年12月のライブ
BBC Radio Volume 1 – 1968-1969 (HUX HUX057) 2004
BBC Radio Volume 2 – 1971-1973 (HUX HUX060) 2004
BBC Radio Volume 3 – 1970 (HUX HUX107) 2009/6

・box set
Old Songs New Songs-The Definitive Box Set (Mystic MYSCD191) 2005 ※4+1枚組
Once Upon A Time 2013/5 ※14枚組

<singles>
Scene Through The Eyes Of A Lens/Gypsy Woman (Liberty LBF15031) 1967/10
Me My Friend/Hey Mr.Policeman (Reprise RS23270) 1968/7
Second Generation Woman/Home Town (Reprise RS23315) 1968/11
No Mule’s Fool/Good Friend Of Mine (Reprise RS27001) 1969/10
Today/Song For Lots (Reprise RS27005) 1970/4
Strange Band/The Weaver’s Answer/Hung Up Down (Reprise RS27009) 1970/8
In My Own Time/Seasons (Reprise K14090) 1971/7
Larf And Sing/Children(Reprise SAM1) 1971 ※Promo only
Burlesque/The Rockin’ R’s (Reprise K14196) 1972/8
My Friend The Sun/Glove (Reprise K14218) 1972/12
Boom Bang/Stop The Car (Raft RA18501) 1973/5
Sweet Desiree/Drink To You (Raft RA18503) 1973/9

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【参加メンバー】
Roger Chapman : vocals (1967.1-1973.10)
Charlie Whitney : guitars/keyboards (1967.1-1973.10)
Jim King : sax/harmonica/vocals/piano (1967.1-1969.10)
Ric Grech : bass/violin/vocals (1967.1-1969.4)
Harry Ovenall : drums (1967.1-9)
Rob Townsend : drums (1967.9-1973.10)
John Weider : bass/violin/guitars (1969.4-1971.6)
Poli Palmer : vibes/flute/keyboards (1969.10-1972.11)
John Wetton : bass/vocals (1971.6-1972.9)
Jim Cregan : bass (1972.9-1973.10)
Tony Ashton : keyboards (1972.11-1973.10)
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【メンバー変遷】
#1(1967.1-9)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
Jim King:sax/harp/vo
Ric Grech:b/vln/vo
Harry Ovenall:ds

 レスターのグループThe Farinasが改名。本格的なロンドン進出を果たす。1967年Libertyと契約し、秋にサイケデリック色の強いデビュー・シングルをリリース。しかし、レコーディング後にジャズやソウル志向の強かったドラマーのHarry Ovenallが離脱。


#2(1967.9-1969.4)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
Jim King:sax/harp/vo
Ric Grech:b/vln/vo
Rob Townsend:ds

 レスター地区でGus Horsepool & The Beatniksなど数多くのバンドで演奏していた名ドラマーRob Townsendが加入。このメンバーで約2年間、安定した活動を続ける。評価を徐々に高めていた矢先の1969年春、Eric ClaptonSteve WinwoodGinger Bakerによるスーパー・グループBlind Faith加入のためにRic Grechが脱退。WinwoodらTrafficのメンバーがFamilyのデビュー・シングルの録音に全面協力していたこともあって周知の間柄で、ヴァイオリンを操るなどそのマルチな才能に白羽の矢が立った形となった。


#3(1969.4-1969.10)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
Jim King:sax/harp/vo
John Weider:b/vln/g
Rob Townsend:ds

 Grechの離脱は米国ツアーの真っ最中という最悪のタイミングとなったが、急きょ現地で元Eric Burdon & The AnimalsのギタリストJohn Weiderをスカウトすることに成功する。西海岸を拠点にしていた第2期The Animalsの解散後も米国にとどまって活動していた。本来の担当楽器はギターだが、Grechと同様にヴァイオリンをこなすマルチなミュージシャンで、急な人選だったにもかかわらず適任者が加入することになる。しかし、半年後にはJim Kingが解雇。ドラッグの影響だったのか精神的に不安定な状態に陥り、奇行が目立ち始め演奏活動に支障を来たしたというのが理由らしい。Kingは後にRings Of Truthというジャズ・ロック・バンドなどで活動。


#4(1969.10-1971.6)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
John Weider:b/g/vln
Poli Palmer:vibes/fl/key
Rob Townsend:ds

 Kingの後任にはマルチ奏者のPoli Palmerが参加。1960年代中期、バーミンガムでDave MasonやJim Capaldiら後のTrafficの面々とThe HellionsDeep Feelingといったグループで活動していた。加入前はMarmaladeレーベルのBlossom Toesやフォーク・ロックのEclectionに在籍。演奏面でもかなりグレードアップを果たす。アルバム「Song For Me」や「Anyway」などの傑作を制作する。1971年半ば、ベースの演奏に満足できなくなったWeiderが離脱しStudに加入。


#5(1971.6-1972.9)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
John Wetton:b/vo
Poli Palmer:vibes/fl/key
Rob Townsend:ds

 Weiderの後任に元Mogul ThrashのJohn Wettonが加わる。アルバム「Fearless」「Bandstand」を制作するなど充実の活動に。しかし、「Bandstand」リリース直後、WettonがKing Crimsonへの加入のために離脱。


#6(1972.9-11)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
Jim Cregan:b 
Poli Palmer:vibes/fl/key
Rob Townsend:ds

 新ベーシストにはBlossom ToesやStudを経たギタリストのJim Creganを加える。Creganは直前まで前々任者のJohn WeiderとStudで活動しており、Weiderと同じくギタリストながらベーシストとしての参加となった。しかし、この時点では実現しなかったが、今度はPoliがRic Grechと新グループを構想してバンドを離れた。


#7(1972.11-1973.10)
Roger Chapman:vo
Charlie Whitney:g
Jim Cregan:b
Tony Ashton:key
Rob Townsend:ds

 Poliの後任にはAshton, Gardner & Dykeなどで活躍してきたキーボード奏者でプロデュース業もこなすTony Ashtonが加わる。ラスト作「It’s Only A Movie」を制作するが、ChapmanとWhitneyはその直後に解散を決断する。