The Nice

The Nice 活動期間1967.5.-1970.4
 Keith Emersonを中心とするキーボード・ロック・トリオ。ロックとクラシックの融合に挑んだプログレッシヴ・ロック・バンド。

 Ike & Tina Turnerのバック・コーラス・グループThe Ikettesのメンバーとして英国公演に参加し、この時にAndrew Oldhamに見出されソロ・デビューを果たした女性シンガーP.P. Arnoldのバック・バンドとして1967年春に結成。当初は元BluesbreakersのギタリストRoger Deanを中心とするThe Blue Jaysがバックを務めていたが、Arnoldの希望もあって新バンドに変更されることになった。

 当初のメンバーはGary Farrのバック・バンドT-Bonesで同僚だったキーボードのKeith EmersonとベースのLee Jackson、元The AttackのギタリストDavid O’List、元Chris Farlowe & The ThunderbirdsのドラマーIan Hagueの4人。秋にはOldhamのレーベルImmediateとバンド単体での契約を獲得。この頃までに音楽性の違いなどからHagueに代わってO’Listと同じThe Attackなどに在籍していたBrian Davisonが加入。

 1967年秋にメンバーの名前をもじったデビュー・シングル「The Thoughts Of Emerlist Davjack」でデビュー。翌年に入って同名アルバムを発表。セカンド・シングル「America」は全米チャートの29位のヒットを記録し人気バンドとなる。

 当初は時代を反映したポップでサイケデリックなサウンドが特徴だったが、同年秋にO’Listが脱退。ギターレスのトリオ編成となった後は徐々にクラシカルな方向性に転じクラシックとロックの融合に挑戦、サード・アルバム「Nice」やオーケストラとの共演作「Five Bridges」などの名作を生み出すなど商業的な成功を収めた。一方でBob DylanやTim Hardinらフォーク・ロックのカバー曲の大胆なアレンジが話題に。

 1970年に入ると、リズム隊2人との関係悪化やより演奏水準の高い音楽性への方針転換を構想するEmersonがGreg LakeCarl Palmerとの新バンドEmerson, Lake & Palmer結成に動き脱退、バンドは解散した。Jacksonは自身のリーダーグループJackson Heightsを結成。DavisonもまたリーダーバンドEvery Which WayをGraham Bellらと立ち上げている。 JacksonとDavisonは73年に再び合流し、スイス人キーボード奏者のPatrick Morazと組んでThe Nice時と同じキーボード・トリオRefugeeを結成している。

 2002年に黄金期のトリオ編成時のラインナップで再結成が実現。Keith Emerson & The Nice名義でツアーを行い、翌年にはライブ・アルバム「Vivacitas-Live At Glasgow 2002」がリリースされた。

<albums>
The Thoughts Of Emerlist Davjack (Immediate IMSP016) 1968/3
Ars Longa Vita Brevis (Immediate IMSP020) 1968/11
The Nice (Immediate IMSP026) 1969/9
Five Bridges Suite (Charisma CAS1014) 1970/6
Elegy (Charisma CAS1030) 1971/4

・その他ライブ音源など
America-The BBC Sessions (Receiver RRCD224) 1996 ※1967-1970年BBC音源
The Swedish Radio Sessions (Castle Music CMRCD349) 2001 ※1967年ライブ
Live At The Fillmore East December 1969 (Charisma 6931432) 2009

・Keith Emerson & The Nice
Vivacitas-Live At Glasgow 2002 (Sanctuary SANTD208) 2003/9

<singles>
The Thoughts Of Emerlist Davjack/Azrial-Angel Of Death (Immediate IM059) 1967/11
America/Diamond Hard Apples Of The Moon (Immediate IM068) 1968/6
Brandenburger/Happy Freuds (Immediate IM072) 1968/11
She Belongs To Me/She Belongs To Me (Immediate AS4) 1969/9 ※promo only
Country Pie/One Of These People (Charisma CB132) 1970/10


【メンバー変遷】
#1P.P.Arnold & Her Nice (1967.5-9)
P.P.Arnold:vo
David O’List:g
Lee Jackson:b
Keith Emerson:key
Ian Hague:ds → J.J. Jackson’s Dilemma

#2(1967.9-1968.9)
David O’List:g
Lee Jackson:b/vo
Keith Emerson:key
Brian Davison:ds

#3(1968.9-1970.4)
Lee Jackson:b/vo
Keith Emerson:key
Brian Davison:ds