Brinsley Schwarz

Brinsley Schwarz band 活動期間1969.10-1975.3
 イギリスのThe Bandとも形容される英カントリー・ロック、パブ・ロック・シーンを代表する名グループ。活動期間中は商業的な成功を収めるには至らなかったが、中心人物のNick Loweらメンバーのその後の活躍に伴い、高い再評価を得た。

 1969年10月、サイケポップ・グループKippington Lodgeに新ドラマーBilly Rankinが加入したのを機に改名。年長でリーダー、加えて珍しい名前だったギタリストのBrinsley Schwarzの名前をそのままバンド名にして新たに活動をスタートさせる。

 1970年2月、マネージャーDave Robinsonらが運営するマネージメント会社Famepushersとの契約を獲得。United Artistsに買収されたLibertyレーベルとレコーディング契約を締結する。すぐにデビュー・アルバム「Brinsley Schwarz」の制作が開始される。

 マネージメントとレーベル側は、バンドをセンセーショナルに売り出そうと画策。話題づくりのために同年4月に大物アーティスト多数が出演するニューヨーク・フィルモア・イーストでのライブへのブッキングに成功する。同時にバンドへの好意的な記事でデビューに花を添えようと総勢100人を超える音楽ジャーナリストらを招待。

 しかし、メンバーの入国手続きに手こずり、会場についたのは公演直前で当然リハーサルもなく、機材も自分たちのものが使えないなどステージでは完全な準備不足を露呈。プレスを乗せた飛行機も大幅に遅れ、企画自体がメディアからの酷評にさらされることになり、ショーの失敗によって大きな負債を抱える最悪のスタートを切る。帰国後すぐにリリースされたデビュー・アルバムもメディアから黙殺される形となった。

Brinsley Schwarz silver pistol 同年秋にはセカンド・アルバム「Despite It All」を発表。本作リリースを前に2人目のギタリストIan Gommを新たに加えて5人編成へ。Nick Loweのソングライターとしての成長や地道なパブ・サーキットでの演奏活動によって徐々にファンを拡大。72年には満を持して傑作3rdアルバム「Silver Pistol」を発表し、メディアからも評価を得るようになる。

 秋には短いスパンで4作目「Nervous On The Road」をリリース。さらにパブ・シーンで精力的なギグを続け、当初のカントリーロック志向に加えてパワーポップ、R&Bにも通じる幅広い音楽性へと発展させ、73年に「Please Don’t Ever Change」、74年夏にはLoweの盟友Dave Edmundsをプロデューサーに迎えた後期の傑作「The New Favourites Of Brinsley Schwarz」など精力的に作品リリースを行った。

 しかし、メディアからの評価が高まる一方で、セールス的な成功を収められない状況にメンバーの不満が高まる。米国進出を念頭に新規レーベルを探すが、UAとの契約が足かせとなって頓挫。完成間近だった新作アルバム(後に「It’s All Over Now」としてリリース)を発表することなく、75年3月のマーキーでのライブを最後に解散を選択した。

 Loweはこの後、EdmundsとのRockpileやソロ、プロデューサーとして成功。Gommもソロ・アーティストとして堅実な活動を継続した。SchwarzとキーボードのBob RankinはDucks Deluxeへ。SchwarzはまもなくAndrewsとともにThe Rumourの結成に参加した。RankinはBig Jim Sullivan、Nicky MooreのグループTigerでも活動。


<albums>
Brinsley Schwarz (United Artists UAS29111) 1970/4
Despite It All (Liberty LBG83427) 1970/11
Silver Pistol (United Artists UAS5566) 1972/2
Nervous On The Road (United Artists UAS29374) 1972/9
Please Don’t Ever Change (United Artists UAS29489) 1973/10
The New Favourites Of Brinsley Schwarz (United Artists UAS29641) 1974/7

・ライブ音源など
What IS So Funny About Peace Love & Understanding ? (Hux HUX023) 2001/10 ※BBC
Cruel To Be Kind (Hux HUX052) 2004 ※71~75年BBC
Live Favourites (MegaDodo BSLP1) 2015

・その他
The Electric Score-Glastonbury Fayre Revelations/V.A. (Revolution REV1/2/3) 1972/4 ※1曲
Greasy Truckers Party/V.A. (United Artists UDX203/4) 1972/4 ※5曲
It’s All Over Now (Decal LIK22) 1988 ※74年の未発表作品

・主な編集盤
Brinsley Schwarz’s Original Golden Greats (United Artists USP101) 1974

<singles>
Shining Brightly/Hymn To Me (United Artists UP35118) 1970/5
Country Girl/Funk Angel (Liberty LBF15419) 1970/10
Speedoo/I Worry (‘Bout You Baby) (United Artists UP35588) 1973/8
I’ve Cried My Last Tear/(It’s Gonna Be A) Bring Down (United Artists UP35642) 1974/3
(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding/Ever Since You’re Gone (United Artists UP35700) 1974/6
Everybody/I Like You, I Don’t Love You (United Artists UP35768) 1975/1
There’s A Cloud In My Heart/I Got The Real Thing (United Artists UP35812) 1975/3


【メンバー変遷】
#1(1969.10-1970.9)
Brinsley Schwarz:g/vo/sax
Nick Lowe:b/g/vo
Bob Andrews:key/vo
Billy Rankin:ds

#2(1970.9-1975.3)
Brinsley Schwarz:g/vo/sax
Nick Lowe:vo/b/g
Bob Andrews:key/vo
Billy Rankin:ds
Ian Gomm:g/vo